新型コロナウイルス感染症対策

新型コロナウイルス感染症対策(第1報)

2020年3月31日

(一社)日本歯科医学会連合
新型コロナウイルス感染症対策チーム

はじめに
―本情報提供の目的―

今般の新型コロナウイルスの歯科医療における感染症対応については、(公社)日本歯科医師会(以下、日歯)に対策本部が立ち上がり、内部組織である日本歯科医学会(以下、学会:学会連合とは別組織)からもメンバーが加わり、日歯のホームページの対策情報にリンクする形で学会から情報発信が行われています。
今回、日本歯科医学会連合(以下、学会連合)として新型コロナウイルス感染症対策チームを立ち上げ、ホームページで情報発信することになりました。ここでは、新型コロナウイルスについてのその時点での対応を紹介しながら、新型コロナウイルスへの対応を通して、国民との協働によって、歯科医療の安全性について一段と向上させるための取り組みです。

《 国民のみなさまへ その1 》

ウイルス感染に対抗する歯科の重要性

「インフルエンザ予防と歯周病菌」より考えられること

1 口腔健康管理はウイルス感染への水際対策

感染症予防のために大事なことは、身体を清潔にすることです。奇麗な体の表面に病原菌は感染しにくいのです。しかし、手や体、髪を洗うことは心がけていても、お口の中もきれいにすることを忘れていませんか?
ウイルスの感染は、鼻と口と目から起こります1)。お口が不潔だと、口に入ってきたウイルスが感染しやすくなります。お口をきれいにし、健康に保つ口腔健康管理はウイルス感染の水際対策なのです。お口に住んでいる細菌が出すタンパク分解酵素は、ウイルスが粘膜細胞の中に感染することを促進します2)。ウイルス感染予防のために、口腔衛生管理を心がけて下さい。特に歯周病菌は強力なタンパク分解酵素をもっています。歯周病にかかっている方はセルフケアと共に、歯科診療によるプロフェッショナルケアも大事です。

2 不潔なお口は腸内細菌叢を乱して全身の免疫を弱める

ウイルスへの有効な対策は体の免疫力を低下させないことです。腸内細菌叢は全身の免疫に密接にかかわっています。そのため、腸内細菌のバランスが崩れると、感染症にかかりやすくなったり、さまざまな全身疾患が発症しやすくなることも知られています3)。お口の細菌は食道・胃を通って腸内にたどり着き腸内細菌叢を乱して全身疾患発症の原因となることが判ってきました4)。お口が汚い方、特に歯周病にかかっている方は、食事のたびにたくさんの口腔細菌が腸に移行するため、全身の免疫力が低下するリスクが高まります。

3 お口が汚いと肺炎リスクが高まる

中高年になると、食べ物や唾液が気管に入ってしまうことがあります。お口が不潔だと、この時にたくさんの口腔細菌が気管に入って肺にまで至り、誤嚥性肺炎を起こしてしまいます。誤嚥性肺炎のリスクが高い方は、ウイルス性肺炎のリスクも高くなります。
さらに、歯ぐきに住む歯周病菌が血流にのって全身を駆け巡り、体のあちこちに炎症を起こします5)。また、歯ぐきの炎症により作られた炎症性物質(炎症を起こす物質)も血流にのって全身へとばらまかれます。その結果、体の免疫が乱れてウイルス感染の炎症症状が進みやすくなってしまいます。

4 注意してください!コロナウイルスは口からもやってくる

現在、中国からたくさんの論文が発表されています。これらの論文は、ウイルス感染が「口腔からも始まる」可能性を示しています1, 6)。今後ますます検証が進むと、コロナウイルス感染の予防には口腔衛生管理が重要であることがはっきりしてくることでしょう。
手洗い・うがいに加えて、お口のセルフケア(丁寧な歯磨き)とプロフェッショナルケア(歯科医院での専門的クリーニング)を心がけてください。また、舌を磨くこともウイルス感染予防に効果があります。

  • 1) Peng X, Xu X, Li Y, Cheng L, Zhou X, Ren B.:Transmission routes of 2019-nCoV and controls in dental practice. Int J Oral Sci.12(1):9, 2020.
  • 2) 松山州徳:プロテアーゼ依存的なコロナウイルス細胞侵入ウイルス.61巻1号,pp.109-116,2011.
  • 3) 安藤朗編:腸内細菌と臨床医学.別冊・医学のあゆみ.医歯薬出版, 2018.
  • 4) Olsen I, Yamazaki K.:Can oral bacteria affect the microbiome of the gut? J Oral Microbiol. 11(1):18, 2019
  • 5) Beck JD, Slade G, Offenbacher S.: Oral disease, cardiovascular disease and systemic inflammation.Periodontol 2000.23:110-20, 2000.
  • 6) Yan Y et al.: Consensus of Chinese experts on protection of skin and mucous membrane barrier for healthcare workers fighting against coronavirus disease 2019. Dermatol Ther.13:e13310, 2020.

参考動画:日歯8020テレビ 「インフルエンザ予防と歯周病菌」
https://www.jda.or.jp/tv/96.html


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